言葉2『蓮如上人 御一代記聞書讃仰』(十七)

恩知らず

われらは天地自然の中で生かされており、多くの生物に支えられ、たくさんの人の恵みを受けて生きている。われらは空気を作らず水一滴も製造する力のない存在でありながら、空気がなければ生きてゆけず、水を飲まなければ生命は保てない。空気中の酸素は植物やプランクトンの働きででき、水は太陽エネルギーによって循環する。すべて天地自然の働きである。まさに供養を受けているのである。

 しかしわれらはこれに応ずる力を持たない存在である。これを無明の凡愚といい、恩知らずという。

細川巖講述『蓮如上人 御一代記聞書讃仰(続篇二)』115ページより

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